「実物として手元に残ることが難しく、面白い」 前田源商店前田晋作さん

オーガニックコットンを中心とした天然繊維の生地や製品を販売している前田源商店。まだオーガニックコットンが馴染みのなかった1993年ごろから製造を始め、オーガニックコットンの流通に関する取り組みもしている。「フットワークが軽く、常に新しい風が吹いている」、そんな印象が強い会社。

そんな前田源商店に一昨年起きた新たな変化は、後継者の前田晋作さんが入ったこと。前職は東京でシステムエンジニアをしていたという晋作さん。SEから繊維の世界へ転向し、産地の若手としてどのような思いで仕事をしているのか、若手インタビュー第一弾としてお話を伺った。

ー晋作さんが家業に入ろうと思ったのはいつなのでしょうか

小さい頃から継ごうと思っていたわけではないんですよ。ただ、私自身も肌が弱くて自社の製品を使っていたこともあり、オーガニックコットンの良さは理解していました。ここで父たちが培ってきた歴史を止めるのはもったいないと思うようになり、父や母との会話の中で自然と戻ってくることを決めた、という感じです。


ー戻ってくる前は繊維業界にどんなイメージを持っていましたか?

正直、「斜陽産業」という印象でした(笑)。
でも安価なものが出回る一方で、しっかり作り込んだものをちゃんとした価格で欲しい人に届ける、私たち会社や産地のやり方は需要があるんだと最近は思っています。


ー富士吉田に戻ってきて2年ほどだそうですが、現在はどんな業務を行なっているのでしょうか

現在は父たちの仕事を手伝いながら業務を覚えつつ、少しずつ自分のお客さんを持っています。最近は生地の企画提案も増えてきましたね。テキスタイルデザイナーさんが提案してくれた柄を選定したりもしています。


ーもともとSEをやっていたそうですが、前職が活かされていることはありますか?

SEの仕事も1つ1つの準備(段取り)が肝心だったんです。繊維業界も糸の準備、染め、セッティング…とかなり段取りを着実にこなす世界じゃないですか。そういう意味では馴染みやすい世界でした。


ー繊維業界の面白さは何だと思っていますか

実際に物になって手元に残るところでしょうか。もちろんSEをやっていた時も物事が完成していく面白さはあったんですけど、画面の中での出来事でとどまるんです。でも生地は物として現れるから、面白いし難しくもあります。


ー難しいというのは?

対応の幅が広い、というのかな。何かトラブルがあった時、原因を探したり修正するのに手間や場合によってはお金もかかる。しかも原因を探ると、糸が悪い時もあれば機械の調子が悪い時もあるし、周りの環境が良くないときもある。1つのトラブルに対する工夫の仕方が何通りもあるし、意外なところから原因が出てくるのが難しいと感じています。


ー確かに、機械のネジをちょっと調節しただけでスムーズに織れることがありますよね

いつも頼んでいる職人さんの話だけど、加湿器を織機の前に持ってきたらスムーズに織れたこともあったよ。

ー御社は生地の卸しと商品販売、同時にされていますが、それぞれ難しさは違うと思いますか?

製品を消費者に届けるとき、パッケージや紹介文とか、消費者に対して気を使う部分が増えるじゃないですか。そこは製品売りの大変さだと思いますし、勉強にもなります。


ーこれから産地でどのようなことをしていきたいと思っていますか

基本的なことだけれど、まずは安定供給できるものをきちんと整備していきたいと思っています。


ーありがとうございました。あ、山の話もしましょう!

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〈山好きたちの、こぼればなし〉

ー晋作さんも私と同様山好きと言うことで、山のお話も聞きたかったんです。

実は前職を辞めた後、1ヶ月間山小屋でバイトしていたんですよ(笑)

ーちなみにどこの山小屋で?

北アルプスの黒部五郎小屋です

ー黒部五郎、奥深くて綺麗な場所だとよく聞きます。私もいつか行きたい山です!北アルプスに行くことが多いんですか?

ーそうだね。南アルプスより北アルプスに行くことが多いかな。

ー山にはまったきっかけは?

2013年かな。立山の龍王岳に行ったとき、景色に感動したんですよ。日本海もすぐそこに見えて、「日本狭い!」って感動しちゃって。その時にハマりました。もともと母が山に登るので、今は家族で登ったりしていますね。

ーこのまま話してると山の話でインタビューが終わってしまいそうですね!



前田源商店

1921年創業

オーガニックコットン製品、草木染め製品、先染めジャカード生地、絹織物

など、伝統を継承しつつ時代に合った生地商品づくりをしている。肌に優しいオーガニック商品の販売はもちろん、生地展示会にも数多く出展。

毎月第3土曜に開催されるオープンファクトリーではオリジナルの風合いが作れるストール作り体験も可能

前田源商店の詳しいインタビュー記事はこちら↓

http://hatajirushi.jp/all/knowfactory/3244






itoguchi

産地の私の日常と、そこで作られた生地について

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